欧州中北部の中小ブルワリーは、大手傘下となってグループ化が進んでいますが、こちらは州立の珍しい公営ブルワリー。

郷土愛の強いドイツ人、地元の著名なビールは国中にしれている(と思っている?)。ある事業所の社主と昼食。『この間ハンブルクから顧客が来たんだ。奴の地元でも俺たちのビールは知れていて、ビールを飲むならこいつだねと言って、昼飯の時に3杯飲んでいったよ。』

北部のビーターなビールからするとまろやかなので、飲食店の棲み分けには良いのかもしれません。いただくならシュヴァルツバルト近郊の街が見つけやすいと思われます。




2) フュルシュテンベルク Fürsteinberg/Donaueschingen 
1283年創業 ドナウ河源流のビール


ドナウエッシンゲンは、ドウナウ河源流の一つとされる泉がある町として知られています。ドナウ源流については諸説あり、ここではそれには触れず、この地の領主フュルシュテンベルクを名乗る旧王室醸造のビールを紹介します。源流説はともかく、シュヴァルツバルトの恵みで清涼な水がある事は、ビール生産に欠かせない条件です。
   
古くはモーツァルトやリスト等もフュルシュテンベルク公の館で音楽界を開いたそうですから、此処のビールをさぞかし堪能したことでしょう。

彼らは相当な呑み助だったという事らしいので、王族の醸造所からどの位提供されたのか興味深い所です。

彼らの時代は上面発酵のエールビールでしたが、1895年にピルスナーの良いものが出来上がり、販売を始めたそうです。

旅行中は野菜が不足気味、食事といえるかどうか微妙ですが、この日は野菜の盛り付けに、燻製のサーモンと鱒が乗ったテラーを注文。赤スグリも添えられていました。飲み物はフュルシュテンベルクのピルスナー。

水が良いせいか清涼感があって苦味はマイルド、淡い濁りがあり、これが大公の醸造所フュルシュテンベルク・ピルスナーの伝統的レシピによるものかどうかは、想像するのみです。個人的には日本食にも合いそうな気がしました。



3) Brauhaus Joh.Albrecht/Konstanz

フュルシュテンベルクに対して、此方はレストラン併設の自家製ビールを提供する小規模新興ブルワリー。

運営本部は南ドイツ、コンシュタンツ駅から徒歩圏13分位。中北部にも同名の飲食店がありますが、縁がなくて訪問したことはありません。それらが直営かフランチャイズなのかも知りません。

ともあれ,此方は新鮮な自家製ビールを味わえるレストランなので、客足はまずまず。大きめの仕込みタンクは存在感あり。



ビールの提供は4種。メッシング。クプファー、ヴァィツェン。別枠でクラフトと表記されています。
初めのメッシングはミュンヘン地方で飲まれるへレスビール、クプファーはドゥンケルビールの事です。

クラフトのみ0.3L (約390円) 他は0.3L/0.5L(約530円)で提供されます。

先ずは、特別な味わいと書かれているクラフトビールを注文。醸造セオリーについては理解できないものの、ホップのブレンドと仕込工程が特別だという但し書きがあり、140円程高め。限定的に提供されているのかもしれません。

ご覧の通りかなり濁りのある無濾過ビール。泡立ちは中庸。確かにホップが利いて、且つアロマ豊か。
二杯目ヴァイツェンは、小麦比率の為かクラフトより泡たちが良い。ローストが似ているのか同じ様な色合です。味わいと香りはヴァィツェンのそれ。


    
食事は南ドイツ・シュヴァーベンの郷土料理マウルタッシェ。具を小麦粉生地に包んで焼いたドイツ版の餃子ともいえる料理、スープにも入れられたりもします。
こちらの料理では、焼くというアレンジがされていて、沢山の野菜に添えられ、カット済みで提供されます。





4) Bürgerstuben Kellerbier/Konstanz

ボーデン湖西岸に隣接したコンシュタンツ駅は、すぐ南がスイス国境なので、スイス国鉄(SBB)とドイツ国鉄(DB)が相互乗り入れをしています。
各所に寄港しながらオーストリアのブレゲンツ迄3時間半、こんな船旅もドイツ旅行数回目なら、お楽しみとしては一興でしょう。



時間に余裕もないし、前述のブラウハウスを探すのも一寸大変そうという方には、ボーデン湖と逆の街よりの構内に、ビュルガーシュトゥーベンというレストランがあります。

構内のレストランでは期待できないんじゃ・・と思いがちですが。

此方ではへレスやピルス等数種の生ビールを提供しています。列車の時刻を確認し、一寸一杯も可能です。
ビールリストの先頭にケラービールの記載があります。その内容は、0.3/0.5/1Lとなっています。

多様なビールの中で、ケラービールはあまり出会わない種類のビール。ツヴィケルとかツヴィックルとも呼ばれます。

此処のケラービールは泡がキメ細かく、炭酸は少なめでです。ブュルガーシュトゥーベンのケラービールの色合いは、フランケンのドゥンケルに近く、やや薄くオレンジがかっています。0.3Lで€2.90
コンシュタンツ駅下車の予定があれば、このケラービールを味わってみては如何でしょう。

料理はボーデン湖産ウグイの焼き物を頼みました。日本のウグイは鮎程度の大きさですが、ボーデン湖のウグイは大変おおきく鮭の半身位、ヴォリュームがありました。









◎ 南ドイツBayern(バイエルン)州アルゴイ地方

5) アルゴイアー・ブラウハウス
6) ビュブレ


アルゴイ地方はバエルンの南西部で風光明媚のうえ、ホップや大麦の産地。おまけに水も豊かとくれば良いビールが期待できます。

バイエルン南西地方のアルゴイアー・ブラウハウスは古いスタイルのスウィングトップです。元は別会社でしたが、昨今の事情でアルテンミュンスターはアルゴイアー・ブラウハウスで生産されています。

レシピに違いがあるので、味わいも異なります。共通な点は、やや濁り加減のビールでビュブレの方が色は澄んでいます。
ピルスよりコクがあって、甘みもあります。南バエルンといえばへレス・ビール。お試しあれ!




◎ ピルスナービールの故郷チェコ


7) プルゼニュ(独名Pilzen)市。ピルスナー・ウルケル(Pilsner Urquell)

ビールの種類は醸造方法で大別すると、上面発酵・下面発酵、少数派の自然発酵だそうです。現代の主流は下面発酵のピルスナー系ビール。
ボヘミア地方はホップの産地、此処の軟水と結ばれ1842年に出来たのがピルスナービール。
歴史的には新参ですね。

その当時、この町のビール品質はおもわしくなく、バイエルン醸造家のヨーゼフ・グロルを迎い入れ、冷涼な地方に適した下面発酵ビールが成功した事から有名になったそうです。

ではプルゼニュで著名な銘柄はと尋ねると『そりゃぁウルケル、ピルスナー・ウルケル。』との推薦です。
泡立ち良く、苦みの利いた味わい。軟水仕込みの為か、しつこさはなく感じました。

ピルスナー・ウルケルは外国の大手ビール会社傘下となっているので、ポーランドやロシアでも作られているという事です。